韓国に来ておいしいコーヒーが見つからず残念に思われた方が多いのではないでしょうか?
それでもここ5−6年はコーヒー店が増え、これくらいの味と香りならまずまずかな、というコーヒーに巡りあうことも。ただ値段がほかの物価に比してずいぶん高く、一食分の食事代よりかかってしまうことも珍しくありません。
女性の方で紅茶好きの方もきっとお困りだと思います。カフェのメニューにある紅茶は明らかにティーバックというお店が99パーセント。それならおうちで、と思っても紅茶葉専門店など数えるほどです。
緑茶も普段から急須で入れて楽しむ、という雰囲気ではないですね。

これらの嗜好品としてのお茶があまり浸透してこなかった背景には、日本の感覚では「健康ドリンク」の範疇に入るお茶が多様で一般化しているからだと思います。夏に渇きを癒す冷たい五味茶、秋の乾燥でのどがイガイガしてきたらカリン茶、冬は風邪予防にゆず茶、クリーミーで子供も大好きなユルム茶は肌がきれいになるし痩身効果も。筋肉疲労と風邪のひき始めに双和茶。これらは誰でも常識的に知っている家庭医学の初歩といえます。からだにいいだけでなく、味がとてもよくいれ方も簡単なので、普段のお茶の時間にぴったりです。よさが知られて、最近は日本人観光客のあいだでお土産としても人気がありますね。(各お茶は市販されている粉末状のものは製品により成分・品質に大きな差があります。粗悪品にはご注意ください!!)

ただ、これらのお茶は飲みやすい反面、甘みがかなりついているので美容を考ると遠慮したいという声、それから、自分の体質に合ったお茶を飲みたいという声が、韓方は煎じ薬で飲むもの、という先入観のない若い世代から上がってきました。

そこでいま、同じように自然から得られる素材でも、食品ではなく生薬をお茶にして、その色・味・香りを楽しむと同時に薬効も得ようという研究が活発にされています。体にいいだけではなく味も良いお茶にすることが第一条件。コーヒーや緑茶などほぼ完成されたお茶に親しんできた口に、また乳製品や人口甘味料などの強い刺激に慣れた口にも美味しく感じられるお茶です。そのためには、さまざまな生薬を蒸し、ロースティングし、煎り付け、あらめに砕いてみたり、パウダー状にもしてみる、という過程を繰り返して結果を整理し、最善の加工方式を探しあてなければなりません。そうやってはじめて、消費者に長く愛されるだけの味と色香を持つ韓方茶としての位置を確実にできるという思いからです。

そしていまほぼ完成段階にあるのが、天然五味子茶、蜜柑皮茶、紫蘇葉茶、枸杞の実茶、乾カリン茶、当帰茶、麦門冬茶、桂皮茶、薄荷茶です。

それではまず五味子茶の説明から。
赤ら顔の方は五味子茶がよいでしょう。ストレスが重なって「火」が生じ、そのために加熱状態にあるからだを冷ましてくれます。仙薬とも呼ばれる五味子は、それ以外にも肝機能の改善、高脂血症の予防、心血管機能の強化などの作用があり代表的な長寿食品です。抗菌作用が強いので赤ニキビにも効果があります。

次は蜜柑皮茶
顔色が黄色っぽい方は蜜柑皮茶を常飲するとよいでしょう。蜜柑は果肉より皮の方に大切な成分が多く含まれています。脾胃の機能を助け四肢末端の血液循環をよくし、体を軽快にします。気のめぐりをよくする蜜柑の皮は、運動が不足気味で気が滞りやすい現代人にピッタリです。当然ながら気滞による胃持たれにも効果を発揮します。

それから紫蘇葉茶
顔色が紫がかっている方(全体的にシミ・ソバカスがかかったように血色が悪く見える方)は紫蘇葉茶が合っています。紫色は赤色と黒色が合わさってできます。体内に悪い血が滞っているときに現れる色です。そんなときに紫蘇葉茶を飲むと、くすんだ肌色を澄んだ明るい肌色に変えてくれます。皮膚にごく小さなぶつぶつができている方、吹き出物など肌のトラブルにお悩みの方は、このお茶で体内の濁りを取り、肌をきれいに戻すことができます。また生肉や刺身などを召し上がった後に紫蘇葉茶を飲むと、微生物の増殖を抑える役割を利用して万一の食中毒を予防することができます。精神面では、憂鬱な気分の時に気持を晴れやかにもしてくれます。

ところで、市販の五味子や蜜柑の皮、紫蘇葉を買って熱いお湯を注いでみてください。鮮やかなカラーと香味を出すのがたやすくはないことがすぐにお分かりになると思います。コーヒー豆のロースティングと粉砕に最適な条件があるように、生薬にも知識と手間と誠意を示して初めて美味しいお茶に変身するのです。それはバリスタならぬ、専門家としての韓方茶セラピストの領域といえます。